An environment that captures the full spectrum of cycling
広大な太平洋のブルー、蔵王連峰の荒々しくも美しい稜線、そして黄金色に輝く仙台平野。宮城県は、地形のコントラストが織りなす、極上のロードおよびグラベルサイクリングの舞台だ。ここには、都会の喧騒から数キロ走るだけで、息をのむような大自然へと溶け込める、サイクリストにとって理想的な環境が整っている。

風が育む、二つの顔を持つルート
宮城県のサイクリングを語る上で、外せないのが「海」と「山」のダイナミズムだ。
東に目を向ければ、太平洋の潮風を感じながら走るコースが広がる。特に、日本三景の一つである松島から、リアス式海岸の美しい景観が続く三陸沿岸へと向かうルートは圧巻だ。震災からの復興を象徴する、新しく美しく整備された沿岸道路は、どこまでも平坦で走りやすい。アップダウンを好むなら、牡鹿半島のコバルトラインへ針路を取ろう。右に左に現れる深いブルーの湾を見下ろしながら、尾根伝いを走るワインディングロードは、純粋な走りの歓びを思い出させてくれる。

一方で、西に目を向ければ、本格的なクライマーを魅了する山岳ルートが控えている。その筆頭が「蔵王エコーライン」だ。春には数メートルの雪の壁、秋には全山が燃えるような紅葉に包まれるこの道は、標高1,600メートルを超えるハイアルパインの世界へとサイクリストを誘う。過酷な斜度を乗り越えた先、山頂付近に現れる神秘的な火山湖「御釜」の姿は、ペダルを漕ぎ続けた者だけが手に入れられる最高の報酬だ。

ディープな東北の森、そして未知なる砂利道へ
宮城の魅力は舗装路だけにとどまらない。ドロップハンドルに太いタイヤを履かせたライダーたちを熱狂させる未舗装のフロンティアが、内陸の北西部に広がっている。
「加美富士」と称される優美な薬萊山(やくらいさん)の麓、加美町周辺。ここには、奥羽山脈の懐に眠る広大な林道ネットワークが縦横無尽に巡らされている。近年、日本初の「UCIグラベルワールドシリーズ」の舞台に選ばれた「グラベルクラシックやくらい(HYSK GRAVEL CLASSIC YAKURAI)」の開催地として、この地は一躍、アジアのグラベルの聖地となった。
世界農業遺産「大崎耕土」の美しい田園風景を抜け、一本の未舗装路へとタイヤを滑り込ませる。目の前に現れるのは、原生林に囲まれた深い砂利道や、起伏に富んだタフな地形だ。タイヤが小石を弾くクランチ音と、自らの荒い呼吸だけが静寂の森に響く。舗装の終わりは、冒険の始まり。 wilderness(荒野)へと深く分け入るその体験は、サイクリストの冒険心を激しく揺さぶる。


ペダルを止め、土地の恵みを味わう
サイクリングは、ただ距離をこなすだけのものではない。その土地の文化に触れ、五感を満たす旅でもある。
宮城県のライドのもう一つの主役は、圧倒的な食の豊かさだ。沿岸部の漁港に立ち寄れば、獲れたてのホヤや大粒の牡蠣、新鮮なマグロの海鮮丼が胃袋を満たしてくれる。グラベルを走り終えたなら、薬莱山の麓で清らかな雪解け水が育んだ地酒や絶品のお米に舌鼓を打ち、伝統的なずんだ餅でカロリーを補給するのもいい。古くからの名湯である秋保温泉、鳴子温泉、そして薬莱の湯に身を沈めれば、過酷な旅路で疲弊した筋肉は瞬時に解きほぐされていく。


四季の移ろいを肌で感じる
春の訪れとともに白石川堤一目千本桜の桜吹雪の中を駆け抜け、夏には涼を求めて深い緑の鳴子峡や薬莱のグラベルロードを走り、秋には蔵王の紅葉に目を見張る。冬の手前、ピリッと張り詰めた冷たい空気の中、遠くに冠雪した山々を望みながら走る平野部もまた格別だ。
宮城県には、ロードバイクやグラベルバイクでしか見ることのできない、そして自転車だからこそ深く味わえる、ドラマチックな風景が凝縮されている。さあ、バイクの準備を整え、美しいみちのくの旅へ出かけよう。

仙台中央店
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